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日記:彗星症候群

  公園で選挙の演説をしていた。人が居るとああいうことができるらしい。人が居ないとどうなるのか? 選挙カーのほうから来る。中身が降りてきて、どうぞよろしく、とか言いに来る。昔は危ないおじさんだと思っていたが、ある時、政治家の一種らしいということに気付いた。管理人はというと、送迎を待っていた大きめの駅の前で市議会選の候補者を論破してしまってから、投票というものは慎重にしないといけないんだなと思っている。見るからにダメそうな人を落とすために、マシな人を選ぶ必要があるというか。

 それはともかく、選挙というものに初めて行く。日本は民主主義らしいので、二重国籍保持者(仮)としては権利を行使しないわけにはいかない。隣国が傾いても困るからな。昔は若かったので、政治家になれば日本の環境くらいは改善されるのでは? とか思っていた時期もあったが、どうやら政治はまぁまぁ面白いが政治家の社会は楽しいものでもないらしいということに気付いてから、ただの有権者でいることにした。新聞は偉大(な面もある)。


 そんなわけで地上はゴタゴタしているが、夜空では8万年に1回の天体ショーが絶賛開催中らしい。今回近付いているのは紫金山・アトラス彗星という星で、太陽に接近するのは8万年振りということだ。ただし、惑星などの引力の影響を受けて軌道が変わったので今後は太陽系の外に出ていってしまい、戻ってくることはないらしい。今回で崩れてしまう可能性もあるらしく、ダイナミックながら儚い存在だと思う。

 そもそも星空の輝きというものが、江戸時代に光ったものが今届いているというようなものだ。光の速さで何十、何百年という遥かな宇宙の向こうで、核融合反応によって燃え続ける星々の、遠い昔の輝きを見ている。夜空のきらめきは化学的なガスの爆発である一方、空間が隔てて時間が繋げる恒星からのメッセージのようでもあると思う。初めまして、はるばる地球へようこそ。


 底なしにも思える暗い宇宙の果て、輝く恒星の盛大な化学反応が起き続ける遠い銀河、広大な太陽系、その中にぽつんと浮かぶ水の惑星である46億歳の地球、そして8万年の時を経て再会した彗星、……我々人間のなんとちっぽけなことだろうか。高々100年ほどの寿命しかない内の20年くらいしか生きていない1生命体が悩んでいたって意味はないんだろうなと思いつつ、なんか年金とか払わないといけないらしいし、温暖化は大変なスピードで進行しているし、やっぱり現代を生きていくしかないようだとも思う。

 今ここに居ることは不幸な偶然なのか、価値の計り知れない奇跡なのか、見方によって何とでも捉えられるが、ロフトで寝起きする現実に一応は満足している。小さな画面から海の向こうのユーザーといつでも繋がれる一方、1人でいる孤独もうっすら感じる。奇特な隣人はその辺を歩いているかもしれないし、もしかするとアンドロメダ銀河あたりに引っ越してしまったのかもしれない。居ないのだから今はどちらでも同じだ。……ただ、今日会える可能性の有無があるだけで。


 どうやら秋の空の気まぐれはしばらく続くらしく、彗星を観察するチャンスである日没をまともに拝める機会は少なそうだ。それに、明るい都会では肉眼で見られないかもしれないらしい。しかし見えなくとも、わざわざ来てくれたのだから挨拶くらいはしておきたいとも思う。広い宇宙で悠久の旅を続ける彗星は案外、ササミの解凍時間をどうするか、みたいな話題を面白がってくれるのかもしれない。


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 星になりたい。

どうもこんにちは、マドロイド星です。

また日記でした。


 すみません、旅行記は停滞中です。あれは精神的に余裕がある時しか書けないようなので、もう少し待っていただけると幸いです。でも、この前の日記で毒が出たらしく、今回はすっきりさっぱり綺麗めの闇が生成されました。なので、そろそろ書ける気がします。というか、書かないと忘れる。


 と、それは一旦置いておいて……皆様は紫金山・アトラス彗星をご覧になりましたか? 僕はまだです。見られるかどうかも分かりません。とりあえずイラストを置いておきます。擬人化です。



 しかし、宇宙っていいですよね。こういう天体ショー的なニュースを見るとわくわくします。寝る前とかに、ふと宇宙を感じることってありませんか? 床が下なんて確証も本来はなくて、真空に浮かんでいる地球に重力で貼り付いている状態なんだというか。すると、自分の上にあるはずの宇宙の底に落ちていくような感覚に襲われることがあるんですよね。

 不思議ですよね。彗星の話だけじゃなくて、惑星と衛星とか、恒星の一生とか、多元宇宙の話とか、昔からすごく好きでした。そういう理論とか仕組みがある上で、星空そのものも綺麗なのがいいですよね。都会ではなかなか見えないので、実家の天然プラネタリウムが恋しいですが。


 題名の「彗星症候群」というのは、こういう宇宙的なスケールの大きい寂しさとか不安を感じることです。天体恐怖症とかあるらしいんですが、おそらくそれに近いです。ただ、空間スケールだけじゃなくて時間スケールも関係しているとかいう点で、別にしています。これ、日蝕のニュースとか満月のニュースとかを見ても何ともないんですが、彗星だけこういう気分になるのが不思議ですね。崩れていく儚さ……いや、にしては8万年周期とか規模が大きいですが。そういうギャップがミソなのかもしれません。

 いやまぁ、そもそも精神的な症状は便宜的に症候群とは呼ばないらしいんですが、別にこれは病気じゃなくて一種の形容なので気にしないでください。もしかすると、フェンストーノ公国が正式に存在する異世界には、こういう病気があるのかもしれません。しかしここは現実世界なので、そんなことより約一週間後に誰に投票するかというようなことを考えないといけないんでしょうけどね。

 ちなみに、この左のほうはササミの成れの果てです。2年目にしてようやく、肉類を弁当のおかずにしました。レンジに突っ込んで解凍っていうボタンを押すと、なんか勝手にやってくれるんですよね。どうなってるんだろう。

 ということで、地球人と彗星の話でした。


それではまた。

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